
毎日使う場所であるキッチンは使い勝手がよく、居心地のいい空間であってほしいものです。
中でも、最も使用頻度の高いシンクが機能的で使いやすいものであってほしいというのは、キッチンに立つ人たち共通の願いではないでしょうか。
今回はそんなキッチンシンクの特徴と選び方のポイントを紹介していきます。
1.素材別シンクのメリット・デメリット
キッチンのシンクの素材としては、ステンレス製・人造大理石製・人工大理石製・ホーロー製の4種類に分けられ、それぞれに異なる特徴があります。
素材 | |||
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メリット | デメリット | 取扱メーカー | |
ステンレス | ・耐熱性・耐久性が高い ・サビにくい ・比較的安価 | ・細かい傷がつきやすい ・カラーバリエーションがない | 国内主要メーカー すべて |
人造大理石 | ・見た目に高級感がある ・耐水性、耐汚性が高い ・色やデザインのバリエーションが豊富 | ・紫外線の影響で黄ばむことがある | クリナップ リクシル パナソニック タカラスタンダード |
人工大理石 | ・見た目に高級感がある ・食器をぶつけた時に割れにくい ・色やデザインのバリエーションが豊富 | ・耐熱性にやや不安がある | クリナップ TOTO クチーナ |
ホーロー | ・艶があり見た目に高級感がある ・耐久性・耐熱性が高い ・お手入れがしやすい | ・重く硬いものを落とすと割れることがある ・傷がつくとそこから錆びることがある ・取扱いメーカーが少ない | – |
ステンレス製

ステンレスシンク
ステンレスのメリット・デメリット
昔からキッチンシンクとして使われてきた定番素材で、柔らかさがあるために食器類を落としても割れにくいという特長があります(表面がセラミックコーティングされているカラーステンレスは除く)。
耐熱性・耐久性・対磨耗性が高いというメリットがあリます。カラーは基本的に銀色です。
ステンレスシンクのお手入れ方法
ステンレスはサビ止めの加工がされていますが、キッチン用の塩素性漂白剤や、しょうゆ、塩などの塩分や塩素が付くとサビができてしまいます。ですから、ステンレスシンクにしつこい汚れが付いたとしても直接原液の塩素系漂白剤をつけるようなことは避けなければいけません。
人造大理石製

人造大理石シンク
人造大理石のメリット・デメリット
見た目が大理石のように美しく高級感がある一方、大理石よりも安価に手に入り加工ができるため近年選ばれている素材です。
見た目も去ることながら、天板からシンクに使えるのでつなぎ目のないキッチンが作れます。そのため汚れが隙間に入ることなくお手入れも簡単でキズもつきにくいのが魅力でもあります。
よく間違えられますが天然の大理石を粉砕し、セメントや樹脂で固めて作った半人工素材が人造大理石です。人造大理石と人工大理石の主な違いはここにあります。
人工大理石製

人工大理石シンク
人工大理石のメリット・デメリット
豊富なカラーバリエーションがそろいキッチンの扉などとのコーディネートも簡単なことから、最近人気上昇中の素材です。
名前に「大理石」と入っていますが、これは大理石のような仕上がりという意味で、原材料には石ではなく熱に強い樹脂が使われています。
手入れのしやすさに定評があり、ステンレスに比べると硬いので食器の保護という点では劣りますが、デザイン性の高いシンクがそろっています。
人工大理石シンクのお手入れ方法
人工大理石はあくまでも大理石に似せて作られた樹脂です。ですから、人工大理石シンクのお手入れは、特性をきちんと理解して行う必要があります。つまり、人工大理石はいくらキズが付きにくいとは言っても天然の大理石ほどの強さはなく、強い酸やアルカリにも弱いのです。そのことをきちんと理解したうえでお手入れしましょう。
人工大理石のお手入れの際は、キッチン用の塩素系漂白剤に気をつけましょう。原液で使っも薄めても、長時間放置すると、その部分だけが変色してシミのようになってしまいます。
ですから、塩素系漂白剤はできるだけ使わないようにします。また、研磨剤の入ったクレンザーと硬い金属製のたわしを組み合わせてこするのもNGです。人工大理石シンクをお手入れするときは台所用の中性洗剤と柔らかいスポンジの組み合わせでお手入れします。汚れが目立って来たら、ナイロンたわしに中性洗剤を含ませて軽くこすり洗いをするようにします。
いずれの場合も、洗剤分を残さないようによく水ですすぎます。排水口近くなど細かい部分のお手入れは、歯ブラシに中性洗剤をつけて磨くとキレイになります。
ホーロー製
ホーローのメリット・デメリット
海外ではお馴染みですがその他の素材と比べてあまり普及していない素材です。
ホーローとは鉄やアルミなどの金属を下地にして、その上にガラス質のうわ薬を高温で焼き付けたものです。金属とガラスの特性を併せ持っており、水や湿気、熱への耐性に優れ、スチール製のタワシなどでこすっても傷つかない耐久性があり、掃除もしやすいことで知られています。
ホーローシンクのお手入れ方法
ホーローは鋳物ですから、表面のコーティングを守ることが大事です。ですから、ホーローのシンクをお手入れするときは、表面のコーティングにキズをつけないように、柔らかいスポンジや布と中性洗剤で行います。
もし、黄ばみやシミが出てきても、研磨剤入りのクレンザーで磨くと表面のコーティングがざらついてしまうため、余計に汚れがしみこみやすくなってしまいます。黄ばみが目立つときには柔らかい布に歯磨き粉をつけて優しくこすったり、濡れたスポンジに重層をつけてこすったりすると、表面にキズをつけずに汚れが落ちやすくなります。
2.シンクを選ぶときのポイント
では、このようなシンクの中から自分にぴったりのものを選ぶには、何に気をつければよいのでしょうか。シンクの選び方のポイントをご紹介します。
キッチンカウンターとの相性
シンクは単独で存在するものではなくキッチンカウンターと一緒に使うものなので、まず考慮したいのはカウンターとの相性です。素材に関しては、ワークトップ(天板)を人工大理石にするならシンクも人工大理石になりますし、ステンレスにするならステンレスにするのが一般的です。
デザインやカラーバリエーション
また、毎日使うものだからこそデザインや色も選択の大きな要素になります。
キッチン全体を好きな色で統一したいなら、カラーリングの豊富な人造大理石や人工大理石のシンクがおすすめです。欧米風の雰囲気を出したいならホーローシンク、スタイリッシュにまとめたいならステンレスシンクとそれぞれに特徴がありますので、このような見た目の特徴も押さえた上で選ぶようにするとよいでしょう。

素材ごとの機能性
最後にもちろん、忘れてはいけないのが機能性。掃除のしやすさや耐久性、耐熱性は素材だけではなくシンクの形や排水設備によっても変わってきます。
3.最新のシンクには各メーカーのこだわりが!
最新のキッチンシンクは、素材だけでなく排水設備にも各社の工夫が凝らされています。
「ディスポーザー」という最新設備も
シンクに付くサビや汚れは、三角コーナーを長時間同じ位置に置いておくことが原因になっている場合があります。生ごみには塩分や酸などが含まれているため、それが長時間同じ位置に付くからです。
ですから、キッチンで出る生ごみをどのような形で処理するかということも、シンクをキレイに長持ちさせるためには重要なポイントとなります。そのため、最新型のシンクの中には、排水口にディスポーザーを取り付けたタイプも出てきています。
調理と同時に生ごみを粉砕して排出するため、シンクに生ごみがとどまる時間がほとんどなくなります。ステンレス製だけでなく、人工大理石シンクにもディスポーザーを採用しているものが出てきていますから、検討してみてもよいでしょう。
3.キッチン長く使うためには?
毎日使うキッチンのシンクですが、どうせ使うなら長く使いたいものです。しかし、そこは水回りの宿命、長く使うにはこまめな掃除が必要です。シンクが劣化するサインには、腐敗が進む、カビが取れない、水漏れ、排水溝のぬめり・臭いなどがあります。これのサインに気をつけながら、定期的に掃除をすることが肝要です。
普段の掃除では、洗い物のついでにスポンジでシンクをこすり洗いするようにしましょう。
ここまでは普段からやっている方も多いと思いますが、重要なのは最後にから拭きをすることです。シンクでよく見られる白い汚れがあると思います。この正体は、石鹸カスと水道水のカルキ。いわゆる水アカと呼ばれるものです。から拭きをすることで、この水アカを防ぐことができるのです。もし白い汚れができてしまった場合は、クエン酸などを使ってしっかりと掃除しましょう。
4.まとめ:購入の前にじっくりと比較検討することが大事

キッチンシンクを含め、全体のバランスも大事です。
キッチン周りのリフォームでよくある失敗は「一目ぼれしたキッチンに決めたら、自宅のイメージには合わなかった」というものです。最初から「絶対にこれ!」と決めてしまわずに、何社か他の製品と機能面も含め比較検討しながら選んだ方が、よい結果につながることが多いようです。
各メーカーのショールームに行って、実物を見ることが一番オススメです!
それぞれの素材や会社ごとの製品の特性をつかんだら、理想のキッチンの雰囲気や、周りの家具とのバランス、どんな風に使いたいのかなどを一度イメージして自分にあったものを見つけてください。
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